(一部、記述を一般の方にもイメージしやすいように変えて書いている部分もあります).
先日、11月13日付けで、オーストラリアの管海官庁 (AMSA) から関係者宛に、題記に関しての
通達が出されました。 概要を書きますと、
各炭酸ガスボンベの上部には火災時に消火の為の炭酸ガスを放出する為の弁が付いています。
AMSAのコメントは、
1. 固定式炭酸ガス消火装置は火災に備えて常時作動できる状態でなければならない。
2. 安全ピンはボンベの運送時やメンテナンス時や、手動で作動させる時に挿入するもので、
通常は外しておかねばならない。
3. 船籍国や船級協会の検査官は検査時にその点を注意して検査・指導願う。
というような内容です。
この件について、複数の船会社の方とお話をし、又、船会社の方々も自分たちの管理船が搭載
している装置のメーカーさんに問い合わせをされました。
結果、大半の機種は AMSA の言うように、通常は安全ピンを外しておくのが正規の状態です。
しかし、中には、安全ピンを挿入した状態が正規の状態である機種もあるとの、メーカーの方の
お話もあったそうです。
故に、実務上の問題として注意しなければならないことは、
1. 各船の各機種ごとにメーカーの明確なインストラクション、つまり、どちらの状態が正規
なのかを確認、現場に表示すると共に乗組員さん達に通達、正しく理解してもらう。
2. AMSA, PSC, 検査官によっては 「安全ピンを外しているのが 100% 正しい」 という態度で
接してくることも予想されますので、もし、安全ピンを挿入した状態が正規の機種の場合は、
水戸黄門様の印籠ではありませんが、英文ではっきりとした、現場に掲示できる説明(書)を
メーカーに出してもらう必要があるでしょう。
一番厄介なのは、製造メーカーが既に廃業とか、外国で建造された古い船などで、取り扱い
説明書も無い、いい加減な点検業者が点検した為、安全ピンの入っているボンベや外してある
ボンベが混在し、どちらが正しい状態なのかわからないといった状況です。
誤操作によるガス放出や、間違った整備による火災時の不作動等、間違いが即人命に係わる
重要な設備ですので注意が必要です。
ちなみに、この設備、外航船に限らず、我々の身近のビルの駐車場でも使われています。