毎日日記をつけられている方も多いかと思います。
又、日記でなくても、仕事上の日誌や日報とか。
船にも航海日誌・機関日誌・無線業務日誌等の日誌があります。
ここではまとめて一般的に「航海日誌」と呼ばせていただきます。
英語で 「Log Book」 と呼びます。
船の航海日誌、陸上の世界と船の世界で大きく違う点があります。
それは、航海日誌での 船の1日の終わり・始まりは 夜中の24時
ではなく、 「お昼の12時、つまり正午」 ということです。
船では1航海 (Voyage)、1航海が1つの仕事で、Voyageごとに
契約上の燃料消費や船の速力、時間等を計算します。
(貨物船の場合、貨物を積んで、それを目的の港へ運び、揚げるまで)。
その計算をする時に「時間」を使う(割ったり掛けたり)のですが、
航海・航海日誌で使う(記録する)時間には 「3つの種類」 があります。
船が出港する場合で説明しますと、
1つ目は、今から出港するので Stand-By Engine (S/B) のテレグラフ
(船橋と機関室間の連絡信号の装置)が操作され、機関長がエンジンの
暖機、ボイラや追加の発電機の準備等が完了、いつでも操作できることを
確認してそのテレグラフの指示計を(S/B) に合わせた時点から始まるのが
「機関使用時間」(Engine Working Hours) です。
2つ目は、船を繋いでいるたくさんの係船索(ロープ)が順次緩められて
外され、最後の1本が陸地から離された時点ではじまる「航走時間」
(Hours Under Way) です。
航海日誌には 09:00 let go all shore line というように書きます。
そして広い海域へ出て、もうエンジンを停止したり後進にかけたり
という操作(マニュバリングといいます)はしないという状態になると
テレグラフが Rung – up Engine (R/up) の位置に引かれます。
この時からが3つ目の時間、「航進時間」 (Hours Propelling) です。
航海ごとの燃費の計算もこの航進時間を使います。
高速道路を走っている車と同じく、運転状態が一定で安定して
いるからです。
港に到着する際は、そろそろエンジンをスタンバイして下さいと
いうことで、「航進時間」が最初に終了を迎えます。そして次に
最初の1本目の係船ロープが陸上とつながった時に「航走時間」が
終了という順に。係船作業中もエンジンは時々使いますので、
「機関使用時間」が終わるのは一番最後です。
長さから言うと、「航進時間」<「航走時間」<「機関使用時間」です。
(尚、Rung(Ring) という言葉を使うのは、昔は鐘を合図に使っていたからで、
現在のテレグラフも音は「カンカンカンカン」という音を出します)。
又、現在の船でも法定備品として真鍮製の「号鐘」の搭載が義務付けられて
います。結婚式場の鐘を拝借という訳にはいかず、ちゃんとした規格品の鐘を。
ちなみに、私の Next Voyage Plan は 24:00 let go all shore line, 一路南進、
その後潮岬沖にて針路を北東へ・・・ いざ出港 ! です。