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船の 「3つの時間」

  • 2017年5月15日
  • 読了時間: 3分

毎日日記をつけられている方も多いかと思います。

又、日記でなくても、仕事上の日誌や日報とか。

船にも航海日誌・機関日誌・無線業務日誌等の日誌があります。

ここではまとめて一般的に「航海日誌」と呼ばせていただきます。

英語で 「Log Book」 と呼びます。

船の航海日誌、陸上の世界と船の世界で大きく違う点があります。

それは、航海日誌での 船の1日の終わり・始まりは 夜中の24時

ではなく、 「お昼の12時、つまり正午」 ということです。

船では1航海 (Voyage)、1航海が1つの仕事で、Voyageごとに

契約上の燃料消費や船の速力、時間等を計算します。

(貨物船の場合、貨物を積んで、それを目的の港へ運び、揚げるまで)。

その計算をする時に「時間」を使う(割ったり掛けたり)のですが、

航海・航海日誌で使う(記録する)時間には 「3つの種類」 があります。

船が出港する場合で説明しますと、

1つ目は、今から出港するので Stand-By Engine (S/B) のテレグラフ

(船橋と機関室間の連絡信号の装置)が操作され、機関長がエンジンの

暖機、ボイラや追加の発電機の準備等が完了、いつでも操作できることを

確認してそのテレグラフの指示計を(S/B) に合わせた時点から始まるのが

「機関使用時間」(Engine Working Hours) です。

2つ目は、船を繋いでいるたくさんの係船索(ロープ)が順次緩められて

外され、最後の1本が陸地から離された時点ではじまる「航走時間」

(Hours Under Way) です。

航海日誌には 09:00 let go all shore line というように書きます。

そして広い海域へ出て、もうエンジンを停止したり後進にかけたり

という操作(マニュバリングといいます)はしないという状態になると

テレグラフが Rung – up Engine (R/up) の位置に引かれます。

この時からが3つ目の時間、「航進時間」 (Hours Propelling) です。

航海ごとの燃費の計算もこの航進時間を使います。

高速道路を走っている車と同じく、運転状態が一定で安定して

いるからです。

港に到着する際は、そろそろエンジンをスタンバイして下さいと

いうことで、「航進時間」が最初に終了を迎えます。そして次に

最初の1本目の係船ロープが陸上とつながった時に「航走時間」が

終了という順に。係船作業中もエンジンは時々使いますので、

「機関使用時間」が終わるのは一番最後です。

長さから言うと、「航進時間」<「航走時間」<「機関使用時間」です。

(尚、Rung(Ring) という言葉を使うのは、昔は鐘を合図に使っていたからで、

現在のテレグラフも音は「カンカンカンカン」という音を出します)。

又、現在の船でも法定備品として真鍮製の「号鐘」の搭載が義務付けられて

います。結婚式場の鐘を拝借という訳にはいかず、ちゃんとした規格品の鐘を。

ちなみに、私の Next Voyage Plan は 24:00 let go all shore line, 一路南進、

その後潮岬沖にて針路を北東へ・・・  いざ出港 ! です。


 
 
 

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