香港政府から、香港籍船に装備されている人員用昇降機について 定期的な点検整備検査手順を備えるように通達がありました。 (原文は Passenger Lift になっていますが、貨物船に装備されている エレベーターも含まれます。 Passenger = 人間 と考えてください)。
このエレベーターの点検整備検査については SOLAS 条約に規定は ありませんが、一度事故が起こると致命的なダメージを受けてしまいます。
故に、各社各船の Safety Management System にそれらを盛り込み、 船級協会などが ISM 審査の際にそれらがちゃんと運用されているか 検証することが求められます。
10年ほど前からキプロス船籍船は通常の船級協会のカーゴギアー ブックの他に追加でキプロスの揚貨機及び昇降機についての証書の 備え付けが求められており、船級協会のSurveyorが検査時に サイン しています。
何十年も前から、自分が乗船していました大型タンカーなどには エレベーターが装備され、毎月本船で点検は行っていました。 ISM が始まった頃、エレベーターを装備している多くの船で点検・整備に ついての手順などが決められておらず、監督さんや乗組員さんに アドバイスした記憶があります。
巨大豪華客船はもとより、下の写真のような貨物船でも、甲板から上に 8階、甲板から下も更に4階くらいの層になっており、10数階建ての ビルと同じ高さです。 エレベーターのカゴの上に昇って手動で最上方から最下方まで点検 していくのって、ものすごい高さで、気持ちのいいものではないですよ。 その「カゴ」に乗組員や用事で訪船した皆さんは乗るわけですから、 香港、キプロス船籍に限らず、どの船でも定期点検・整備は重要です。