豪華客船の話
- ノジ マリン
- 9月19日
- 読了時間: 2分
私の普段の仕事は貨物船やタンカーの安全関係の検査や船舶管理関係が主ですが、
時々大型のクルーズ客船の安全関係の検査にも行きます。
貨物船はプロの訓練を受けた乗組員だけ (ごく稀に、便乗者・船客が乗る場合も
ありますが) が乗船しているので、緊急時にもそれなりの対応ができますが、
客船の場合はそうはいきません。
数百~数千名のお客さん、つまりお年寄りや子供さん、又、ハンディキャップを
持たれた人等、様々な素人さんが船旅を楽しむために乗船しています。
もちろん、乗組員もそれなりに訓練を受けた数百人のベテランや船医、ナース等が
乗船していますが、やはり大変で、皆さん神経をとがらせます。
客船は貨物船と比べて構造が複雑で、迷路のような箇所も多く、船内では
どちらが船首か船尾方向か、どちらが右舷か左舷か、わからなくなってしまいます。
故に、特に防火と救命設備 (もちろん浸水等についてもですが) に厳しい規則が
定められています。
又、乗組員も群衆をコントロールするための訓練も要求されます。
タイタニックの映画をご覧になればイメージが湧くかと・・・。
下の写真は救命ボート操練。甲板に集合、ボートを降下させています。
もう一枚は LLL (Low Location Light) と言って、火災時に煙を避けて
身を低くして避難する際の道標のライトで、これも検査の対象です。
飛行機に乗ると足元にライトが光っているでしょう ? あれと同じです。
次の写真は、豪華な船内でも非常時の避難経路の表示は遠くからでも目視
できることが重要です。遮るような物を設置してはいけません。
ちなみにデパート等と同じく、スプリンクラーや遠隔操作の防火扉も設置されて
います。
タイタニックの映画に出てくる警報と共に一斉に閉まりだす防水扉も機関室や
下部の乗組員居住区等にはたくさん設置されています。
又、映画に出てくるベル(号鐘)や、夜空に打ち上げていた遭難信号は
今でも大切な法定備品として貨物船、客船、タンカー等すべての船に
備え付けられています。
国内航路の客船、フェリーと、国際航海の客船(貨物船も)とでは規則が
違い、付いているものも違いがありますが、船に乗られる機会があれば
船内をギロギロ見てみてください。
「何コレ?」っていうものが目に付くかもしれません。




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