超 ~ 怖かった経験 --- 鏡の中で動く・・・
暑い毎日が続いています。
で、私が経験した怖~い話をお話しします。今まで封印していた・・・。
今から20年近く前、九州のとある田舎に単身赴任していた時のことです。
仕事先の古~い独身寮を改装したゲスト用宿舎というか寮に滞在していました。
殺風景な灰色の廊下、裏はたしか果樹園があったと思います。
私の部屋は2階の廊下の一番端でした。
夜、寮に帰って暗い階段を上ったところにある洗濯機室の前を通るとき、時々何か気配を感じていました。
部屋に入るとすぐに壁にくっついた机兼収納引出し、部屋を広く見せる為か壁にはやけに大きな鏡が付いていて、その横に小さな傘のついた電灯とテレビが置いてありました。
部屋の中央近くにベッド、そして奥にユニットバスルームといった配置です。
部屋は中庭に面していて夜は部屋の中が丸見えになるのでカーテンを閉め切って、
眠る時はユニットバスの扉の下から漏れる灯りを室内をほんのり照らすナイトライトにして寝ていました。
消灯前にベッドで本を読んでいると、ちょうど入口のドアの下部についたルーバー
(何本かの板が横についた通風孔のようなもの)が視界に入り、かすかに廊下が見えます。
あるとき、そのルーバーの向こうを白いネグリジエ姿の脚が左から右へ通りすぎました。
普段はほとんどゲストもいない寮、その時はその会社へ本社の人か、会計監査などの来客が
きて泊まっているのかな? 程度に思いました。それにしてもネグリジエ姿で廊下を歩くなんて
大胆な女性だなとも思いました。
それからそんな事も忘れてしばらく経ったある日の夜、いつものようにベッドで横になって本を
読んでいるとまたルーバーの向こうを白いネグリジエ姿の脚が左から右へ通りすぎました。
また?? と思った後、不思議に思いました。
自分の部屋は廊下の一番端で、自室の扉のすぐ横はいつも内側から施錠されている非常階段の扉です。
外が見えるような扉でもありませんし、第一、自室前を通過するとすぐにぶち当たってしまいます。
何か変だな、気持ち悪いなと思い、その後、何度か寝てい時に金縛りに遭うようになりました。
そしてある夜、とうとうその超怖い経験をしてしまいました。
ある夜、ふと目が覚めました。別にトイレに行きたくなった訳ではありません。なぜか目が覚めたのです。
右側の壁を見ると大きな鏡にユニットバスの扉の隙間から漏れる灯りと部屋の中がうっすらと映って
います。
と、その時、鏡のなかに丸いというか、マッシュルーム型というか、何かが見えました。
「あれ? あんな(変な、邪魔になる)とこに電灯置いたっけ??」と眠いながらに思い、それをもう一度
よく見ました。その瞬間、恐怖のあまり背筋が凍り付きました。
その鏡の中の丸い何かがゆっくりと動いています。「えっ?! えっ?!」といった感じです。
よく見るとそれは肩までの長さの黒髪の女性の頭の後ろ姿です。白いネグリジエ姿の・・・。
そして鏡の中のその向こう側にはユニットバスと自分が被っている布団が映っているのです。
つまり、鏡の中に寝ている私を見ている女性の後ろ姿が映っているのです。
かろうじて視線をその女性が私を見ているであろうベッド横に向けましたがだれも見えません。
しかし鏡の中では女性がゆっくりと首を左右に動かして寝ている私を見ているのです。
何とも言えない、気持ち悪いスピードでゆっくりと左右に・・・。
何度かドアのルーバー越しに脚を見た女性が遂に部屋の中に入ってきてしまったんだと思いました。
金縛りにはなっていないようですが、怖くて動いたり声を出したりできません。
はやく出て行ってくれ、どこかへ行ってくれ、そればかり願っていました。
やがて新聞配達でしょうか、ブーッとバイクの音がして、そして鏡の中の女性の姿も消えました。
数か月後、1年以上に及んだそこでの単身赴任生活も終わりました。
鏡の中の女性、どんな人で、何で寝ている私を見ていたんでしょうか・・・。
(尚、下の写真とこの話の寮とは関係はありません)